アメリカの医療

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アメリカの医療

 
子供が熱を出したり、病気になったりして、お医者さんにかかる必要があるとき、慣れない土地ではどうしたらいいかとまどってしまいますよね。
 
私もアメリカに来た当時は、お医者さんにかかるのがイヤで仕方がありませんでした。アメリカの
医療
制度や医学用語はわからないし、保険の制度も違うし。。。それでも、どうしようもないときには、辞書を片手にお医者さんに行ったものでした。
 
ここでは、アメリカの医療について、日本との違いや特徴についてご紹介します。
 
 

 日米医療の違い

 
     
アメリカの医療制度が日本とそれと大きく違うところは、かかりつけ(家庭)医制度が徹底しているということと、契約を結んだ病院で診療を受けるということです。
 
一般に、子供を診る小児科医は出産前から決めていることが多く、主治医となった医師は出生から24時間以内に、その子供の初検診を行います。子供が生まれた瞬間から、そのケアに対する全責任を小児科医が負うことになります。
 
つまり、アメリカではいったん患者を引き受けると、それが一種の医療契約とみなされ、24時間対応する責任が生じます。電話相談や、休診の際には他の小児科医に代理を依頼するといったことも医師の義務になります。
 
病院での診療も同様で、入院が必要な場合は、契約を結んだ近くの病院に入院しますが、そこでも主治医の責任と指示によって診療が行われます。
 
もちろん、重症な場合や専門医の治療が必要な場合は、病院のスタッフに任せることになりますが、基本的には、主治医は、朝あるいは夕方に自分の診療所での仕事を終えてから、病院まで足を運び、入院させた患者の診察や治療を行います。
 
 

 小児医療における日米の差

 
     
日本とアメリカとでは、予防接種の種類と接種スケジュールに大きな違いがあります。
 
 アメリカのスケジュール
  新生児
  1か月
  2か月
  4か月
  6か月
  9か月
  12か月
  15か月
  18か月
  4〜6歳
  11〜13歳
 
 日本のスケジュール
  1歳までに
  1歳過ぎたらすぐ
  任意6か月
 
 
 
 
B型肝炎
B型肝炎
3種混合、インフルエンザ桿菌、ポリオ、肺炎双球菌
3種混合、インフルエンザ桿菌、ポリオ、肺炎双球菌
3種混合、インフルエンザ桿菌、肺炎双球菌
B型肝炎、ツベルクリン反応
水痘、肺炎双球菌
インフルエンザ桿菌、MMR
3種混合、ポリオ
3種混合、ポりオ、MMR
ツベルクリン反応、破傷風
 
 
3種混合(3回)、ツベルクリン反応、BCG、ポリオ(2回)
麻疹、風疹、日本脳炎、3種混合2期
B型肝炎、水痘、おたふく風邪、インフルエンザ(ウイルス)、A型肝炎、 肺炎双球菌
日本のスケジュールは、地方自治体や医師あるいは親の裁量にまかされる部分が多く、かなり柔軟といえますが、アメリカではきっちりとした細かいスケジュールが決められています。
 
アメリカで接種されるワクチンは、インフルエンザ桿菌ワクチン以外は、日本でも接種できます。
しかし、接種不可能なインフルエンザ桿菌に加え、B型肝炎、BCGの予防接種については、大きな問題となることがよくあるようです。
 
まず、B型肝炎やインフルエンザ桿菌のワクチンは、日本では接種しないのが普通ですが、アメリカでは全員に接種されます。ですから、幼児期にアメリカに渡った場合は、後から追いかけてこうしたワクチンの接種を受けなければなりません。
 
また、BCGはアメリカに渡った子どもの家族と、日本の予防接種事情を知らないアメリカ人医師に大きな混乱と誤解を招いています。
 
日本ではツベルクリン反応を行い、陰性者にはすぐにBCGを接種しますね。ツベルクリン反応は予防接種ではなく、結核に感染しているかどうかを調べる検査です。陰性であるということは、まだ結核菌が体に入っていないことを示すので、BCGを接種します。BCGは弱い結核菌の生ワクチンで、摂取すると結核菌に対する免疫がつきます。
 
ところがアメリカでは、BCGを行わずに、定期的にツベルクリン反応を行い、結核菌感染が疑われたらすぐに結核の治療を行います。BCGを接種して免疫がついていれば、ツベルクリン反応は必ず陽性になります。ですから、日本でBCGを受けた子供がアメリカでツベルクリン反応を行えば、必ず陽性になるのです。
 
ところが、アメリカの医師にとっては、「ツベルクリン反応陽性=結核菌感染」を意味します。いくら「日本でBCGを接種しました」といっても信じてもらえません。結局、胸部レントゲンを撮られたうえで治療が開始されてしまう、ということになってしまいます。BCG接種後にアメリカに渡る場合、その旨を英文で説明した証明書を持っていくしか、こうしたトラブルを避ける方法はありません。
 
 

 薬の処方の違い

 
     
日本でもアメリカでも診断が同じであれば、同じような治療が行われるはずです。しかし、よくある病気でも、その薬の使い方にはかなり違いが見られます。
 
小児科でもっとも多い疾患は、風邪ですが、これはウイルスの感染によって引き起こされるので、抗生物質は効果がありません。このため、通常の風邪には抗生物質を処方しないのが一般的です。
 
ただし、中耳炎や蓄のう症を合併している場合などには、抗生物質を使用します。また、抗生物質で治療する場合は、少なくとも1週間服用することも常識になっています。
 
日本の患者さんの場合、通常の風邪でも抗生物質を求めることがあることと、抗生物質を処方しても最後まで飲まずに、数日で症状が軽くなるとそこで止めてしまう、ということがあるようです。
 
これは、おそらく日本での治療経験(風邪でも抗生物質が処方されることがあり、その場合、服用期間が通常3〜4日であること)が原因となっているようです。日米の治療方針の違いがもっとも目立つところは、この点です。
 
 

 アメリカの医療保険の特徴

 
       
日米の医療保険制度の違いによる誤解やトラブルは、アメリカで医療を受ける際に一番大きな問題となっているようです。よく、アメリカには医療保険がないといわれますが、それは誤りです。アメリカにも医療保険はありますし、保険に加入しているのが普通です。アメリカと日本の医療保険制度には、次のような違いがあります。
 
(1)日本のように国民皆保険ではなく、多くの場合、民間の保険会社が請け負います。
 
アメリカに医療保険制度がない、というのは日本のような政府管掌の公的な医療保険制度がない、ということです。アメリカの医療保険は、民間保険会社が提供するさまざまな医療保険プランです。
 
(2)保険でカバーできる疾患や治療が、日本のように一律ではなく、保険の種類によって異なります。
 
民間保険会社の提供する保険プランは、日本の生命保険、あるいはガンや疾患保険のようなものと考えると分かりやすいかもしれません。あるいは、自動車保険のようなものと考えてもいいでしょう。
 
自動車保険に加入するときには、一番基本となる対人対物の損害保険の補償額や、それ以外のオプションの保障内容を契約時に決めますね。保険料を抑えたければ、こうしたオプションを減らしたり、
保障限度額を低くすればいいのです。
 
(3)日本のように全国どの医療機関にでも受診できる保険もありますが、多くの場合は、受診できる医療機関が限られていたり、同じ保険でも受診する医療機関によってカバーされる内容が異なります。
 
アメリカの民間保険会社で提供している医療保険は、大きく3タイプに分けられ、同じ医療保険といっても、カバーされる内容がかなり違います。受診できる医療機関が限定されている保険は、保険料もそれだけ低くなります。
 
ここで注意しなくてはならないのは、出産と歯科のケアです。加入したときに妊娠していることが分かっていると、出産費用が支払われないことがあります。また、歯科は原則として別個に保険料を支払う必要があります。
 
(4)保険の種類によっては、医師が治療を行う前に、保険会社の承諾を求めないと費用が支払われないことがあります。
 
日本では医療費の支払い額が事後審査で確定し、非支払い分は医療機関の損失になるので、必要な検査や治療が行われないということはありません。しかしアメリカでは、医師が必要と感じても、保険からの支払いが認められない場合には、その必要な医療を行うことができないということがあります。
 
アメリカの保険でも保険料の低いものは、疾患別に支払いの基準が細かく決められており、それを知らずに治療を行うと、医療機関の損失となることもあるので、治療や検査をする前に、保険会社に連絡して承認をとることが一般的に行なわれています。そのため、患者や医師が必要を感じていても、その検査や治療を行えないこともあります。
 
(5)保険契約の際には、カバーする内容を細かく指定できますが、それには、保険の内容について、きちんと理解しておく必要があります。内容を理解していないで契約を結ぶと、希望する医療サービスを受けられないことがあります。
 
なんでも一律で、保険金も自動的に決まる仕組みに慣れてしまっている日本人には、なんとも不便な制度ですが、十分な保険の知識さえあれば、自分でその内容を決められるということで、むしろ長所としてとらえることもできます。
 
(6)保険料の支払いが困難な低所得者には、国や州による無料の医療保険があります。
 
郡病院などの公立の医療機関の救急室は、保険がなく医療費が払えない人に対して、必要最低限の医療サービスを無料で提供しています。ただし、こうした医療機関の場合、医療サービスの質が低いこともあります。また、診察までに数時間待たされることもよくあるそうです。
 
 

 アメリカの医療保険について

 
       
日本では、全国民が公共の保険に入ることが義務付けられています。このため、所得に応じた保険料を支払ってさえいれば、本人もその家族も、医療にかかった金額のうち何割かを負担すれば、どこの病院でも、すぐに医療を受けることができます。
 
これに対しアメリカでは、自分で民間の医療保険会社を選んで入ります。保険に入らなければ、月々、何万円もの保険料を払わなくてすみますが、風邪をひいて病院にいけば数万円かかるし、予防接種も赤ちゃんの健康診断も万単位の料金を払わなければならなくなります。歯の治療は、別に歯科専門の保険に入る必要があるなど、日本とかなりシステムが違っています。
 
保険は種類もいくつかあり、その内容も、保険会社ごとに違っています。また、治療方法もたくさんのオプションの中から選ばなければなりません。このため、低額の保険に入ったら、たった2つの病院にしか保険が使えなかったとか、子供が救急医療に運ばれたけれども、病院から、保険の契約内容では、親の希望する治療は保険会社が認めないと言われたりすることもあります。
 
企業派遣でレベルの高い保険に入っていれば、なにも問題はありませんが、自費で保険に入る家族にとっては、アメリカ生活の中では、最も困難な手続きのひとつといえるかもしれません。
  
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